刺繍には、ちょっとしたひと手間でなんということのない既製品が、たちまちお気に入りの一品に一気に大変身してしまうマジカルパワーがありますよね。
極端に言えば、刺繍は針と糸と布さえあれば、簡単に取り組めますし、それで自分らしさをほんのちょっとプラスできるのは、まさに刺繍ならでは、と言えるのではないでしょうか。
そんな刺繍のなかでも、作品の仕上がりが普段とはひと味もふた味も違ってくるグラデーション刺繍糸というアイテムがあります。
大きな手芸店やネット通販では、1本100円前後から販売されています。
グラデーション刺繍糸は1本の糸に数種類の色が染められていて、とてもカラフルできれいな刺繍糸です。
単色の刺繍糸を使うやり方よりもグラデーション刺繍糸を使ったやり方のほうが作品の仕上がり、色彩の出具合いが全く違って見えるのです。
つまり、繊細かつ多彩でふんわりと柔らかな雰囲気が出せる、というわけなのです。
今回はそんな斬新なアイテム、グラデーション刺繍糸について解説していきたいと思います。
単色の刺繍糸を使ったグラデーションの刺し方
単色の刺繍糸をいくつか使うやり方でグラデーションに仕上げていきたい場合、主に2つのやり方があります。
サテンステッチとロング&ショートステッチです。
まずサテンステッチですが。
このステッチは直線のステッチを平行に並べて刺し、面を埋める刺し方です。
色の違う刺繍糸を数種類使い分けて刺していくやり方で、キレイなグラデーションに仕上がっていきます。
そしてもうひとつ、ロング&ショートステッチですが。
こちらは文字通り,長い目と短い目を交互に刺して面を埋めていきます。
すべて平行に刺し,ロングステッチの隙間の空いている部分に違う色のショートステッチをはめ込んで縫っていくと繊細なグラデーションになります。
このステッチはサテンステッチが1㎝を超えた場合や、動物の自然な毛並みなどを表現する時などに使います。
また草花のモチーフなどを濃淡を入れて表現したい時、ロングステッチの隙間を詰めて放射状に縫っていく刺し方もできます。
グラデーション刺繍糸を使って刺繍するやり方
グラデーション刺繍糸を使った刺し方で縫う場合、先に述べたように面を埋めるサテンステッチやロング&ショートステッチなどが、とても適しています。
逆に刺繍図案の輪郭線を刺す時に使う、アウトラインステッチにはグラデーション刺繍糸を使うやり方だと輪郭が、ぼやけたりしてあまり向いていません。
それを踏まえたうえで、グラデーションの刺繍糸を使う際のポイントとしては、もったいない気持ちを抑えて使わないところは思いきって切り取ることにあります。
もったいないから言って、そのまま刺し続けていくと、仕上がりにうまくグラデーションが反映されなかったりします。
グラデーション刺繍糸なら、あまりもったいないと考えず、おおまかでいいので完成したイメージを頭の中で膨らませ、使わない、と判断したものは思いきって切り取ることをおすすめします。
例えば、海の刺繍図案を刺すやり方の場合を考えてみましょう。
濃い青色からだんだん白色になって濃い青色に戻っていくグラデーション刺繍糸を使うとします。
その中で自分が使いたいところをズバリ切り取るのです。
例えば、青色の濃いところから、ちょっとずつ薄いところまでのグラデーションにしようとするなら、青色の濃いところからハサミで切って、最後、薄いところで終わるように切り取ります。
しかしながら、刺繍するサイズによっては、どのあたりで変わり目になるのか実際に縫い進めていかなければわからないこともあります。
グラデーション刺繍糸の場合、一旦、糸を取り出してみて、不要と判断した部分は切り取り、余ったぶんは糸巻きや堅い紙(ハガキをカットしたようなものでも可能ですよ。)などにぐるぐると巻きつけておくことをお勧めします。
グラデーション刺繍糸とは?
グラデーション刺繍糸について解説しましょう。
グラデーション刺繍糸とは1本の糸に、ある間隔に数種類の色が染まっていて、その細い糸が何本か(糸の種類により異なります。)寄り合わさって1束の糸になっています。
使う時は普通の刺繍糸と同じように、糸端を見つけて必要な本数、長さを取り出します。
グラデーションの刺繍糸は 眺めているだけでも、うっとり美しいアイテムなのですが、使ってみれば縫い進めていくうちにカラフルに、そして軽やかに色が変化し、仕上がりはどんな風になるんだろう、とウキウキしてくるアイテムでもあるのです。
グラデーション刺繍糸は大手の手芸店やネットショップに行くとカラーバリエーション豊富に販売されています。
あまりの美しさに目移りするほどですが…
そんなグラデーション刺繍糸はメーカーやシリーズによってカラーは勿論、糸の染め幅などもずいぶんと異なってきます。
そんなグラデーション刺繍糸で刺していくと、どんなモチーフのものでも自然と柔らかな濃淡の味の変化が出てくるので、針を刺す作業行程自体がたいへん楽しいものですよ。
また、同じグラデーション刺繍糸を使っても、人によって色の濃淡の出方が異なってくるので、仕上がった作品も異なります。
それもまたグラデーション刺繍糸の醍醐味のひとつといえるでしょう。
まとめ
手持ちのシンプルな単色の刺繍糸を数種類使う刺し方であれば立体感を出すなどの表現はできますが、グラデーション刺繍糸を使用した刺し方をすれば、立体感はもちろん、ゆるやかで軽やかな色の変化、濃淡具合いの表現に格段に広がりがもたらされます。
グラデーション刺繍糸は、単色の刺繍糸に比べて格段に味わい深い表現が可能なのです。
グラデーション刺繍糸は色の出方がキッチリと予測できず(そこがまたグラデーション刺繍糸の魅力でもあるのですが)、縫い進めていくうちに、自ずと水彩画のようなふんわりとした味わい深い仕上がりになっていきます。
より一層多彩な表現を可能にしてくれるグラデーション刺繍糸を単色の刺繍糸と同時に使い分けていけば、刺繍のさらなる奥深い世界を堪能できると思いますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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